玻璃の天-あまりに北村薫的な。
- 作者: 北村薫
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2009/09/04
- メディア: 文庫
- 購入: 3人 クリック: 20回
- この商品を含むブログ (67件) を見る
や、もう「街の灯」からそうですけど、北村薫のデビュー作である「空飛ぶ馬」に始まる「円紫師匠と私」シリーズをなぜか彷彿とさせるんですね。
- 作者: 北村薫
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 1994/03/27
- メディア: 文庫
- 購入: 3人 クリック: 154回
- この商品を含むブログ (271件) を見る
円紫師匠とベッキーさんの立ち位置が近いと感じます*1
登場人物に注がれる暖かい視線、そしてさりげない割に緻密な謎、その空気感が北村薫の持ち味という奴だと勝手に思っています。その意味でベッキーさんシリーズはまさに「北村薫の真骨頂」といったところでしょうか。
さて「玻璃の天」は三篇からなる連作短編集ですが、底に流れるのは「ベッキーさんの過去」。
「幻の橋」でヒントが与えられ、「玻璃の天」で明らかになるベッキーさんの過去は、「自由」を考える英子とつながる重要なテーマです。
舞台は昭和九年。まだ、英子の目に映る東京は平和で美しい。恥ずかしながらそういう「昭和」をよく知らなかったので、文化史としてもためになります。
ただ、時代は確実に不穏な影をちらつかせている、その描写も目立ちます。
こうして最終巻「鷺と雪」に続く…となるともう、読みたくてたまらない。
しかし、いくらなんでも文庫はまだですよね…。