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ただの日記。たぶん。

極私的、今まで心に残った本たちその1:好きな作家編

全然更新していないのもどうかと思い、たまには本のことでも書こうと思って極私的なお気に入り本でもまとめておこうと思います。
最近、「おすすめ小説とかありますか?」とたまに聞かれるので。
ただ、これはあくまで極私的なものなので、読んで面白くなくても責任は持てません。
そして最初はひとつのエントリにぶち込もうと思ったのですが、私の力がつきそうなので、段階公開。
今回は好きな作家編。

保坂和志

季節の記憶 (中公文庫)

季節の記憶 (中公文庫)

カンバセイション・ピース (新潮文庫)

カンバセイション・ピース (新潮文庫)

この人の閾 (新潮文庫)

この人の閾 (新潮文庫)

保坂和志という作家は、最初読んだとき「なんだこの読みにくさは」と思ったけれど気づいたらはまっていたという経緯があります。
彼の小説は基本的に「何も起きない」です。事件らしい事件が起こらず推移します。そのことが芥川賞を受賞した「この人の閾」の選評でもよくわかります。ただ、その流れが心地よく思えるのです。
個人的には「季節の記憶」が一番おすすめ。「カンバセイション・ピース」から読むと挫折するかも。

阿部和重

シンセミア〈1〉 (朝日文庫)

シンセミア〈1〉 (朝日文庫)

ニッポニアニッポン (新潮文庫)

ニッポニアニッポン (新潮文庫)

グランド・フィナーレ (講談社文庫)

グランド・フィナーレ (講談社文庫)

ピストルズ

ピストルズ

阿部和重という作家を知ったのは今はなき「月刊カドカワ」の作家スペシャルで、最初に読んだ「インディヴィジュアル・プロジェクション」が読み辛さ満点なのになぜか心に残ったのが始まりです。
彼の作品の中ではやはり「神町サーガ」がやはり圧倒的だなあと思います。特に「シンセミア」と「ピストルズ」の読後感は凄い。読んでいて疲労が半端ない作家でもありますが、あの読後感はちょっと味わって欲しいですね。
ちなみに「ニッポニアニッポン」以降彼の小説は読みやすさを格段に増しています。「グランド・フィナーレ」での芥川賞は正直遅すぎたなあと思います。あの作品は彼の作品の中で最高傑作ではないですし。

星野智幸

目覚めよと人魚は歌う (新潮文庫)

目覚めよと人魚は歌う (新潮文庫)

虹とクロエの物語

虹とクロエの物語

俺俺

俺俺

「文藝」の特集で知った作家。三島由紀夫賞野間文芸新人賞を受賞していますが、結局芥川賞は受賞できず候補から辞退する宣言をしています。
「目覚めよと人魚は歌う」は三島賞受賞作。小説なのに明らかに濃密でねっとりとした空気が体感できます。
もっとも近著である「俺俺」は読むと空恐ろしくなるほどの凄さ。現実と乖離しつつ現実的という。

伊坂幸太郎

ラッシュライフ (新潮文庫)

ラッシュライフ (新潮文庫)

重力ピエロ (新潮文庫)

重力ピエロ (新潮文庫)

アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫)

アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫)

魔王 (講談社文庫)

魔王 (講談社文庫)

モダンタイムス (Morning NOVELS)

モダンタイムス (Morning NOVELS)

言わずと知れた人気作家。紹介するまでもないような気がしますが、お気に入りは上記5作品。
特に「魔王」と「モダンタイムス」は非常に好きな作品です。
彼の作品は言葉の使い方がものすごく巧みな印象を受けます。

村上春樹

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド(上)新装版 (新潮文庫)

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド(上)新装版 (新潮文庫)

ノルウェイの森 上 (講談社文庫)

ノルウェイの森 上 (講談社文庫)

ダンス・ダンス・ダンス(上) (講談社文庫)

ダンス・ダンス・ダンス(上) (講談社文庫)

言わずと知れた村上春樹。彼の最近の著作は読めていませんが、高校〜大学にかけて自分にどことなく影響を与えた作家であることは間違いないでしょう。印象的なのは上記3作品。「ノルウェイの森」は映画化されますが、菊池凛子は個人的に緑っぽい気がしてならない今日この頃です。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」はおそらく一番読んで「面白い」と感じた著作。
ダンス・ダンス・ダンス」は「風の歌を聴け」から「羊をめぐる冒険」のシリーズに連なる1作です。おそらくシリーズを読んでいた方が面白いと思います。

よしもとばなな(吉本ばなな)

アムリタ〈上〉 (新潮文庫)

アムリタ〈上〉 (新潮文庫)

哀しい予感 (角川文庫)

哀しい予感 (角川文庫)

TUGUMI(つぐみ) (中公文庫)

TUGUMI(つぐみ) (中公文庫)

吉本ばななを通過したのは中学生のときでした。彼女の小説といわゆる「少女小説」の類似点は齋藤美奈子が指摘していた気がしますが、今読み返すと若い、勢いがあって妙にあっけらかんとしている部分があって面白い。特に「アムリタ」はそういう方向が顕著かなあと。

田辺聖子

どんぐりのリボン

どんぐりのリボン

おかあさん疲れたよ(上) (講談社文庫)

おかあさん疲れたよ(上) (講談社文庫)

田辺聖子は小学生のとき親の借りてた「どんぐりのリボン」を奪って読んだのが印象的。大阪弁で軽妙に進む会話と心理描写がうまい。「お母さん疲れたよ」は戦争を絡めた、めぐりあいと別れの物語。

有栖川有栖

双頭の悪魔 (創元推理文庫)

双頭の悪魔 (創元推理文庫)

朱色の研究 (角川文庫)

朱色の研究 (角川文庫)

本格ミステリ」にはまるきっかけとなった作家。学生アリスの登場する「江神シリーズ」と作家アリスの登場する「火村シリーズ」からお気に入りをセレクトすると上記2冊になります。「双頭の悪魔」は読者への挑戦が3度挿入される渾身のミステリ。

水村美苗

私小説―from left to right (ちくま文庫)

私小説―from left to right (ちくま文庫)

本格小説〈上〉 (新潮文庫)

本格小説〈上〉 (新潮文庫)

日本語が亡びるとき」で話題になった水村美苗氏ですが、「本格小説」は「嵐が丘」に題材を取った長大な小説。前ふりが長過ぎるという評価もあるようですが、これほど壮絶な恋愛小説もないと思うので読んで欲しい一冊。前ふりを理解するなら「私小説」は絶対に押さえておいた方がいいです。

向田邦子

あ・うん―向田邦子シナリオ集〈1〉 (岩波現代文庫)

あ・うん―向田邦子シナリオ集〈1〉 (岩波現代文庫)

「台詞の妙」を本気で味わえるのが向田邦子のシナリオ。今なお読んでも新鮮で心にしみます。

…次回からはジャンル別、のつもりですが、予定は未定。もし続きが読みたいという方がいらっしゃればがんばって早めの公開。なにもなければ。。そのまま、の可能性も。ご了承ください…。