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ただの日記。たぶん。

ワイルド・ソウル

ワイルド・ソウル 上 (新潮文庫)

ワイルド・ソウル 上 (新潮文庫)

ワイルド・ソウル 下 (新潮文庫)

ワイルド・ソウル 下 (新潮文庫)

伊達に大藪賞・吉川英治文学新人賞日本推理作家協会賞三冠じゃないっすね。
物語のスピード感は凄いのに、根底がしっかりしていてぶれがない。
この小説の根底にあるテーマは戦後の移民政策であり、話として多少認識はしていましたが、ここまでの筆致で描き出されるとその残酷さに背筋が寒くなります。
で、この小説は移民政策によって人生を変えられてしまった者たちの痛快な復讐劇、とひとことで言っちゃえばそれまでなんですが。
それぞれの人物の背景には痛快さはあまりなくて、むしろ重い。
それをここまでのスピード感で読ませてしまうって言うのはやっぱり作家の力量だなぁと感じました。
あと、警察を振り回されるばっかりに描いてないところも良い。
個人的には結末は若干予定調和かな…とも思いましたが、とにかく、面白かったです。
久しぶりに一気読みしたな。