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東京で消耗する理由-まだ東京で消耗してるの?(イケダハヤト)

 

 

私はイケハヤ氏と逆に地方から東京に出てきたクチだ。その観点で読むと新しい考えが生まれるかと思って本書を手に取った。
イケハヤ氏は東京はもう終わっていると冒頭で語る。
家賃の高さ、移動時間、無意味な出会い、食の貧しさ、行列、順番待ち、子育てのしにくさなどなど。
半分くらいは東京と「組織で働くこと」を混同して書いているきらいがある。
社畜に逃げるのは別に東京に限ったことではないだろう。
コミュニケーションのためのコミュニケーションは東京であろうとなかろうと発生するはずだ。
また田舎の方が稼ぎやすいと語る。現にイケハヤ氏は収入が3倍になったそうだ。
この辺りは「何を仕事にするか」で変わってきそうだ。彼は地方には仕事がないというのは嘘だと語る。アルバイトならいくらでもあるし臨時職員もあると語る。問題はそこから先だ。そこから次の仕事へ...と彼は語るが、次の仕事って一体何なのだろう。農家?起業?ブロガー?正直にいうといまいちイメージが湧かないのだ。地方のスピード感や静かな環境はともかくそこから何をしていくというのだろうか。自分は保守的だからわからないのだと言われてしまいそうだが。
第3部では地方の素晴らしさについて語るが、私も地方出身なのでこの辺はなんとなくわかる。確かに田舎は思うほど不便ではないし、人の少なさは確かに住みやすさに通じる。でもクルマはないと大変に不便だというのは実感として反論しておきたい。
第4部のビジネス紹介は正直言わせてもらうと「取らぬ狸の皮算用」に見えて仕方なかった。あれもこれもとアイデアはお持ちのようだが、それは実現したら言って欲しいというのが本音だ。
この本で一番有用なのは第5部だ。本当に移住したいひとがいるなら第5部は役に立つと思える情報が入っている。また、「やりたくないことリスト」は移住しなくとも有用かもしれないと思った。
 
地方から東京に出てきた自分としては、それでも東京が好きだと思える。東京は人も多いし物価も高いし確かに住みにくいのだが、刺激が多いのだ。大きな本屋を眺めたり、小さい映画館で観客一体となって映画を観たり。出会いが薄いとイケハヤ氏は書くが、私は東京でなければありえない出会いもしてきた。
東京は消耗に見合う刺激を与えてくれる街だ、と思いながら私は今日も東京で暮らしている。