そこのみにて光輝く
佐藤泰志という作家は名前だけ知っていた。どこで知ったのかはよく思い出せないのだが、確か彼のドキュメンタリー映画か何かの情報を見たのだと記憶している*1。
綾野剛はとにかく何をやっていても絵になる(褒めているつもりである)。佇まいや表情で苦悩する男をきちんと見せていたと思う。
ただ個人的にはこの二人がなぜ惹かれあうのか、その辺が分かるようで分からない。読み取れない自分が鈍いのか。
この映画で一番突出しているのは何と言っても女性の弟を演じている菅田将暉だろうと思う。明るく無邪気なように見えて衝動的で狂気を秘める存在。彼が取る行動は大体予想がついたのだが、物凄く上手い。家族のためにあろうとして、結局衝動に任せ突き進んでしまう悲しさが凄かった。正直、泣いた。
あと狂気といえば高橋和也の演技も強烈だった。この物語で一番恐ろしい存在だろうと思う。恐ろしさを自分でも制御しきれていない感じがとても良かった。
ラストシーンは私には唐突にも思えたけれど多分あれ以上の終わり方はなかったと思う。
原作も読んでみたいと思う。
2014/4/20@テアトル新宿
*1:調べたら「書くことの重さ〜作家 佐藤泰志」だった